小さい頃から建設現場が好きだった。
それが何故かはわからない。
それは黄色い仮囲いのせいかもしれない。
ここから先は関係者以外立ち入り禁止と言われると入りなくなるのは仕方がないことだろう。
それはのそのそと動く重機のせいかもしれない。
あたかも生物のように動き、着実に仕事をこなす。
とくにショベルカーが好きだった。
クローラーがガラガラと音を立ててゆっくり歩く姿や
意外と繊細に土砂を運ぶバケット
象の鼻や人間の手のように自在に動くアーム
こんなにも心くすぐるはたらくくるまがあるだろうか。
しかし建築現場で働く仕事を夢にもったことは不思議となかった。
ただ医者になった今でもメカニックなことは大好きだ。
多くの道具がそうであるように、手術で使う器械は人間の手の延長線として設計されてきた
剪刀(セントウ;ハサミのこと)は指の延長線として、指のカーブに習って曲がっており
鑷子(セッシ;ピンセットのこと)は親指と人差指/中指の延長線
優しく指の腹でつまむ鑷子は無鈎鑷子、臓器などをつまむ
鋭く爪を立ててつまむ鑷子は有鉤鑷子、皮膚などをつまむ
人間離れした道具は人間はうまく使えないらしい
かっこうよく言えば、人間工学とかそんな話なのだろうが
むつかしいことはわからない。
つまるところ、道具に頼った手術、これはいけない。
体の一部としてうまく使いこなしたいなと思う。
壊して造る建設現場
切除して再建する手術
なんとロマンに満ちた仕事だろうか。
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